| 寄生虫和名表 |
序
寄生虫の和名を整理統一するための努力は古くから行われ,昭和4年寄生虫学会第一回総会評議員会への提案に始まり,昭和5年の[日本名一覧表(假案)],昭和8年の[寄生虫和名決定案]により蠕虫類の和名が選定された.これとは別に,昭和15年の総会で,原虫和名用語統一のための小委員会が発足し,昭和17年の[人体寄生原虫和名成案]に至って,一応人体寄生虫の和名の全般的な選定を終わっている.その後,再検討の声が上がり,昭和36年から38年にわたる詳細な検討を経て,[新たに決定または再確認された寄生虫和名表]として全寄生虫にわたる和名が選定公表された.(付表 1.)
以上の和名選定の経過には,30余年を要し,かなりの紆余曲折があり,選定された寄生虫の種数も選定のたびに大きく変動している.昭和38年に選定された和名表は,その後現在まで,30年の長きにわたって,和名表記の指標とされてきたが,この間に,相次ぐ新知見が続々と蓄積され,再々検討を望む意見が昭和63年頃からしばしば聞かれるようになった.
寄生虫学用語集(寄生虫誌,40(4),pp.461-513,1991)発刊の目処が立った平成元年に,かねて懸案の和名再整理の作業を特に和名選定委員会を設けず,当委員会で引き続き行うこととなった.平成4年4月には,さらに専門小委員会を設け細部の検討を付託し鋭意検討を進め,このたびようやく上梓する事ができた.
今回の選定では,線形虫類,鉤頭虫類,蛭類を加え,さらに獣医学関係の代表種をも選んだ結果,選定総種数が大幅に増加した.また,[選定メモ]を添えて選定の根拠を示し,会員諸士の理解を得ることとした.
ここに,当初から永年にわたって献身的な努力を続けられた用語委員会の委員各位,並びに,学名・和名の詳細な検討と収録種の選定の労を惜しまれなかった専門小委員会の諸先生に深謝する.また多数の会員の方々から極めて貴重なご意見を頂いたことを厚く御礼申し上げる.
終わりに,本和名表が広く有効に活用されることを願うとともに,和名表に対しての意見を,委員会まで活発に連絡下さることを期待する.
寄生虫学用語委員会
委員長
佐藤 淳夫
[平成6(1994)年11月記]
本[和名表]の作成にあたっては,これまでの旧和名表に示された選定方針を基本的に踏襲したが,特に注意を払ったのは次の諸点である.
以上の選定の結果,本和名表には,原虫類 71種,吸虫類 47種,条虫類 32種,線虫類 78種に加え,線形虫類 2種,鉤頭虫類 2種,蛭類 4種の,計 236種を収録した.なお,本和名表では,獣医関係のものは一部の代表種に限定し,水産関係のものは割愛した.(付表 3.)
| 今井 壮一 | 影井 昇 | 金田 良雅 | 木船 悌嗣 |
| 小島 荘明 | 町田 昌昭 | 佐藤 淳夫 |
| 今井 壮一 | 影井 昇 | 町田 昌昭 |
情報処理広報委員会より
今回の改訂にあたり,用語委員会佐藤委員長から,和名表ならびに選定メモを一覧表の形にしたい旨の要望がありましたので,寄生虫和名表を一括ダウンロードする方式にあらためました。text形式ファイルは学会サーバ(産業医科大学医動物学教室に設置)にあります。以下のボタンをクリックしてください。
MS-Wordで書式情報を含め表示可能 |
イタリック体などの書式情報は表示されません |
| 寄生虫和名検索 学名<---->和名双方向検索 |
あとがき
今回の選定にあたっては,その対応処理に困難した諸点が多く,種々悩んだ経緯があるので,委員会・小委員会で行われた論議を略記した[選定メモ]を併せて公表して本和名表選定の主旨の理解を得ると共に,今後の和名表活用に資することとしたが,さらに関連する2ー3の事項を追記すると,
1. 和名の表記形式について:
一般生物学界では通常“すべてかながき”としている情勢も検討したが,
2.学名について:
和名選定の経過中に,学名そのものについても精査確認に努め,学名(属・種名)だけでなく,(命名者・年号),new combination の(記載者・年号)をも併記して,今後の利用の便宜を計ることとした.
ただし,学名は固定されたものではなく,極端なことを言えば,種名や属名の変更は絶えず行われているもので,また学者により意見の異なるものもある.従って1種の寄生虫に複数の違った学名が用いられているものでは,現時点で一応妥当と思われる学名を採用し,他は [synonym] としたが,それらには下記のような立場のものがあり,詳しくは[選定メモ]の説明を参照されたい.
@ 文献的にもいずれが妥当なのかが現状では確認出来なかったもの.
該当は1種(ランブル鞭毛虫)のみである.
いずれを学名として使用するかは,現段階では各研究者の好みに任せざるを得ない結果で,今後の安定を待つべきものと判断される.
(付表 2.-1)
A 学名の変更があったが,旧学名が現在でもなお慣用されることが多く, 統一が望ましいもの.
該当は8種である.[synonym] は現段階では使用しない意味で参考までに示した(付表 2.ー2).
尚,旧和名表中の学名がその後変更され,既に定着しているものにも旧学名を [synonym] として念のために示した.Aと同様に,現段階では使用しないものである.該当は2種である(付表 2.-3).
3.昭和8年(1933)の[和名決定案]発表のおりに,和名統一委員会として,
[本会会員ハ和名ヲ用イル場合ニハ必ズ別記ノ和名ヲ用ルコト,又之ヲ各医学雑誌,及ビ,会長ニ於イテ適当ト認メラルル機関ニ発表スルコト]
| 寄生虫学会用語集へ |
| 和名選定委員会討議録へ |