この度、伝統ある日本寄生虫学会の理事長にご指名いただきました。日本寄生虫学会ならびに関連した領域・団体の皆様と共に、寄生虫学の一層の発展をめざして、微力ながら尽力いたす所存です。本学会はこれまで幅広い年代の会員諸氏の弛まぬご努力により発展して参りました。この場をお借りして、日本寄生虫学会員、関連団体の皆様のご支援、ご協力に感謝するとともに、これからもご指導・ご鞭撻を心よりお願い申し上げます。今回2018年3月の理事の交代により、学会理事会の構成員の中堅層への移行が進みました。それに伴い、学会の運営に関して、これまで以上に若手・中堅会員諸氏の積極的な貢献が求められます。

これまで3年間にわたる堀井俊宏前理事長のご尽力により、様々な研究会・地方会等の学術活動に対する本学会としての支援、若手研究者の国際学会への派遣など様々な懸案事項が解決、整備されました。また、本学会の機関誌であるParasitology Internationalも名和行文編集長のもと着実に会員の研究成果を発表する媒体としての役割を果たしています。本学会の活動と学会誌がより一層の高い評価を得るために、学会・関連集会、機関誌の会員各位による積極的な活用をお願いいたします。

生命科学・社会医学分野における寄生虫学の価値・意義、そして寄生虫学が他分野に放つことのできる魅力は極めて多様です。言うまでもなく、感染症という国境の無い脅威に対する人類の戦いにおいて、寄生虫学は細菌学・ウイルス学・免疫学とともに、決して軽視されることのない重要な感染症の一学問領域です。一方、基礎科学的な側面からも、ゲノム、転写、翻訳、代謝、輸送、シグナル伝達など基盤的な生物学・生化学・分子細胞生物学領域においても教科書に掲載されるような重要な発見を成し遂げてきた経緯があります。同時に、診断・ワクチン・薬剤の創生に至る寄生虫学の応用科学的な展開は、常に重要であり続けています。同時に、グローバリズムの中で、全世界的視野に立った寄生虫学の価値・貢献力を広く社会に対して発信する必要性・重要性が以前にも増して高まりつつあります。既存の省庁からの競争的研究費だけに依存しないPublic private partnership (PPP)に代表されるような新しい形態のファンドを利用することにより、日本の寄生虫学が存在感と重要性を世界に示すチャンスは以前より格段に増しています。

寄生虫学が学際的に他分野と連携しつつ、広く生命科学に対して影響力を与える魅力的な領域であるために何より重要なことは、言うまでもなく、学会員の優れた学術研究成果です。日本寄生虫学会としては、これまでと同様に、感染症のみならず、広く他の生命科学、社会科学領域を驚かせる学問分野として発展を続けることができるように、学会員の皆様の活動を多方向から支援して参りたいと存じます。

改めて、日本・世界における寄生虫学の更なる発展のため、学会員の皆様の学会への貢献を何卒よろしくお願い申し上げます。

日本寄生虫学会・理事長
野崎智義