大阪大学微生物病研究所の堀井でございます。この度、伝統ある日本寄生虫学会の理事長にご指名いただきました。これまで会員諸氏のご努力によって発展してきました日本寄生虫学会ですが、より一層の飛躍をめざして尽力いたす所存です。会員各位のご支援、ご協力をお願い申し上げます。
これまで6年間にわたる太田伸生前理事長のご尽力により、本学会の懸案事項でありました財務の危機的な状況を脱し、健全な状態にしていただきました。これに関しましてはエルゼビアへの支出金の大幅な減少があります。それには、本学会の機関誌であるParasitology Internationalが、投稿された優秀な論文と優れた編集長のおかげで、直近4年間にわたって2を超えるインパクトファクターを得たことが大きく貢献しております。このインパクトファクターは寄生虫学分野の他の学術雑誌と比べても、また、日本の他の学会誌と比べても高いものでありますが、より一層の評価を得るために、会員各位のさらなる本誌への投稿をお願いするところであります。さらに、もう一つの懸案事項でありました地方会のあり方につきましても組織改革を進めていただきました。
本学会は感染症学の一領域である寄生虫学分野における最新の研究成果の発表、学会員の交流などを通して学術の発展に資するとともに学会員の活動を支援してゆくことを目的とします。寄生虫学は古典的な生物学から先端的な分子科学、疫学から対策研究に及ぶ極めて広範な学問諸領域を含む学術分野であるとともに、それらが有機的に関係した分野でもあります。従って、様々な価値観を持った研究者が効果的に協業してゆくことで独創性の高い研究を遂行するとともに、社会の健康福祉に貢献することができると考えております。一方で、長年にわたる寄生虫学者諸先輩の大いなるご努力によって、日本は寄生虫感染症の最も少ない国の一つとなりました。しかしながら発展途上国を中心に寄生虫感染症は未だに猛威をふるっております。日本国内ではグローバル社会の到来が叫ばれて久しいですが、寄生虫学分野における研究活動は発展途上国に大いなる貢献をするはずであります。日本の寄生虫学の進歩のため、学会員の皆様にはご指導、ご鞭撻の程、よろしくお願い申し上げます。

日本寄生虫学会・理事長

堀井俊宏